私は下読み担当者として、これまに数え切れない作品と出会う機会がありました。
もちろん、その大半は、小説作法の基本が備わっていない作品ばかりです(厳しい言い方でごめんなさい)。
もっとも、そんな作品の中には、物語のテーマ自体はとても面白く興味深い、文章はプロ並みに読みやすい、ここに気付けば一次予選は簡単に通過できるはず、など才能の片鱗を窺わせる作品は多く存在しました。
そんな作品に触れるたびに、私は、こうした”秘めた才能”を持つ作者の方に助言やアドバイスできたとすれば……ととても口惜しい思いに駆られました。
作者の方が一つの作品を完成させるためには、多くの時間を費やすことになります。
その多大な時間を、正しい方向性をもって望むのか否かは、大袈裟に言えば作者の方の人生の貴重な時間を有効に使えるか否か、に置き換えることができるはずです。
それだけ、多くの作者は、自分の作品に、長い期間と計り知れない気力をもって臨んでいるからです。
もちろん私自身、作品に対してアドバイスを行うためには、作品をより慎重に読み込み、指摘させていただく点をチェックし、それらの内容を講評としてまとめる作業に多くの時間を費やすため、有料サービスとして行わざるを得ませんので、少なからず対価をいただく必要があります。
それでもきっと、その費用に見合うだけ、あるいはそれ以上の効果を作者の皆さんの執筆活動にもたらすことができると思います。
私の願いは、何よりも、作者の皆さんが、執筆活動に正しい方向性を見出し、無駄に費やしかねない多大な時間を削減し、充実したご執筆人生を歩んでいただきたい。
その一点に尽きるのです。